橈骨遠位端骨折の合併症を治療法ごとに解説

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は橈骨遠位端骨折の合併症ということで、
少しでもわかりやすくお伝えできればと思います。
治療法ごとに注意すべき合併症が違いますので、
それぞれ解説していきたいと思います。

合併症(がっぺいしょう)とは、
治療の結果生じる症状、障害のことで、

薬で言えば副作用に相当するモノです。

 

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

橈骨遠位端骨折とは?

まず橈骨遠位端骨折というもののおさらいです。

橈骨(とうこつ)とは
前腕を構成する2本の骨のうち、
親指側の骨であり、
(小指側は尺骨)

手首側で太くなって、
手首の関節の主役といっていい骨です。

その橈骨の「遠位端」ですが、
少しわかりにくいですね。

遠位と近位という言葉は医学において
よく使われます。

心臓(身体の中枢)に近い方を近位
遠い方を遠位と言います。

すなわち、遠位は手の指に近い方
になるわけですね。

そのため、肘から手首までの前腕の骨である
橈骨においては、
遠位端というのは手首を表します。

長々と説明いたしましたが、
要は、橈骨の手首側の骨折

それが橈骨遠位端骨折となります。

これは手首の骨折でも最も頻度が高い骨折です。

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橈骨遠位端骨折の治療別合併症

それではこの橈骨遠位端骨折の
治療法別に代表的な合併症を紹介していきます。

【保存療法】シーネやギプスによる外固定

コンパートメント症候群

まず固定してから数日以内に起こりうる、
一番危険なモノとして、

このコンパートメント症候群というものがあります。

骨折してから数日は腫れが広がっていきます。
それに対して、ギプスやシーネ、包帯などで
固定するわけですから、

その腫れを抑えることになるわけですが、

逆に、腫れの逃げ場がなくなることでもあるんです。

通常、腫れは皮膚が伸びるかぎり、
かなりのところまでふくれあがりますが、

ギプスなどを巻いていると、
それは許されません。

となると、どうなるかというと、
どんどん中の、特に筋肉内の圧力が高まるんですね。

そうなると、筋肉内の血流がどんどん悪くなり、

最悪、筋肉が壊死(えし)という、
壊れた状態になってしまいます。

そうなると、手首はおろか、指がうごかなくなってしまう。
そのなれの果てがフォルクマン拘縮と呼ばれる拘縮です。
これが完成してしまうと手遅れと言われています。

引用画像:私の手の外科 改訂第4版 南江堂

引用画像:私の手の外科 改訂第4版 南江堂

そのため、そうならないように、
常にコンパートメント症候群には注意が必要です。

この早期発見のために
5Pと呼ばれる代表的徴候が有名です。

  1. 疼痛(pain)
  2. 蒼白(paleness)
  3. 脈拍消失(pulselessness)
  4. 感覚異常(paresthesia)
  5. 麻痺(paralysis)

 

ただ、これらが揃うのを待っていたら、
全然手遅れです。

ですので、疑えば、
すぐに包帯を外して、救急外来を受診する。

という即断が大切です。

僕の場合は5Pというよりは、

指を動かせないような痛みがあれば、
すぐに連絡してください。

と説明しております。

ギプスやシーネによるその他合併症

そのほかの合併症としては、

皮膚トラブルと神経障害に注意が必要です。

どちらも、ギプスやシーネ、包帯による
圧迫や直接的な刺激が原因で、

当たって痛い場所がないか、
ギプス固定後、指先がしびれたりしていないか?

などを注意しておく必要があります。

そういった症状があれば、
主治医と相談しましょう。

【手術】プレートによる固定

次に手術の主流であるプレート固定ですが、

こちらについては
この記事で詳しく解説しております。

手首の骨折でプレート手術はどういうものになる?

2016.10.12

合併症についても解説しておりますが、

 

プレート特有のものとして、
手術後半年以降くらいに起こる、
親指の腱断裂があります。

これは長母指屈筋腱という腱で、
親指を曲げる筋肉のスジです。

このスジとプレートと擦れるために、
手術後、半年くらいから、
切れてしまう人が出てくるんですね。

それもあまり前兆がないので、
防ぐのが難しいと言われています。

現段階として防ぐためには、
こすれにくい位置にプレートを置くなどの手術の工夫と、

手術後は半年くらいで早めにプレートを抜く手術
してしまうということです。

【手術】創外固定やキルシュナー鋼線による固定

創外固定やキルシュナー鋼線と呼ばれる針金で、
骨折部を固定する方法もあります。

こちらについても先ほどの記事で
解説しております。

手首の骨折でプレート手術はどういうものになる?

2016.10.12

この創外固定や針金の治療では、

主に傷の外に、
骨を固定した金属が出ていますので、

その金属が刺さっている場所から、
細菌が入ってしまい感染してしまう

刺入部感染というものが問題になりやすいです。

 

これは放置してしまうと、
骨の中まで菌が侵入して、

非常に治りにくい骨髄炎
という状態にまで及ぶことがあります。

 

ですので、早く見つけて
抗生物質を飲んだり

時には早めに針金や創外固定のピンを
抜去する必要があります。

 

 

早めに見つけるには、
定期的な受診が何より重要で、

そこで医師が刺入部の皮膚の状態を観察します。

 

ご自身でも、

  • 刺入部の痛みが増した
  • 刺入部を覆うガーゼの浸み出しが増えた
  • 刺入部が熱い、腫れぼったい

などの症状があれば、
早めに主治医に相談すること

が大切です。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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