鎖骨遠位端骨折とは?他の部位とひと味違う特徴から手術法について

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は鎖骨遠位端骨折についてのお話です。
鎖骨骨折の中でも特徴的な骨折で、

治療法もさまざまあり、注意が必要な骨折です。

 

その鎖骨遠位端骨折は
他の部位とくらべてどう違うのか?

治療法はどう変わってくるのか?

手術はどうなのか?

 

という点について解説いたします。

 

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

 

それではいきましょう!

 

鎖骨骨折の基礎をおさらい

まずはおさらいから入りましょう。

鎖骨骨折の基本について解説した
こちらの記事をご参照ください。

鎖骨骨折の痛みや症状の特徴は?医師はどこを見てる?

2016.10.28

復習しますと、

鎖骨という骨は

胸骨という胸の真ん中の骨と、
肩甲骨を繋ぐ役割があります。

言いかえると、

鎖骨によって
肩から腕までは吊られている
もしくは、支えられている

と言えます。

また、その裏側には
腕から手に向かう大切な神経、血管があり、
それを守る役割もあります。

この鎖骨は長い骨であるため、

部位によって

  • 鎖骨遠位端骨折(外側1/3)
  • 鎖骨骨幹部骨折(中1/3)
  • 鎖骨近位端骨折(内側1/3)

と分類されており、

特に
鎖骨の真ん中である骨幹部骨折は、
鎖骨骨折の2/3以上を占めています。

次に1/3近くを占めるのが
今回のお話である鎖骨遠位端骨折になるわけです。

鎖骨遠位端骨折とは?その特徴は?

この鎖骨遠位端骨折とは、
さきほどの通り、
鎖骨の外側1/3の骨折になるわけですが、

主に2つの特徴があります。

肩甲骨との関係が重要

1つめは外側ということで、
肩甲骨の近くの骨折ということです。

そこで重要になるのが
肩甲骨との関係です。

鎖骨の外側の端っこは
肩甲骨の肩峰という部分と
関節を作っています。

これを肩鎖関節と言います。
肩甲骨と鎖骨だから「肩鎖」関節。

意外と医学用語はシンプルです。

そして、この肩鎖関節を安定させている
重要な靱帯として、

烏口鎖骨靱帯というものがあります。

これも実はシンプルな名前で、

肩甲骨の烏口突起という突起と
鎖骨をつなぐ靱帯だから、

烏口鎖骨靱帯と言います。

 

鎖骨遠位端骨折の場合は、
これら、特に、

烏口鎖骨靱帯というモノが
損傷していないかどうか

それによって骨折部位の安定性が
大きく変わります。

結果、手術をしたほうがいいか
についても変わるわけです。

骨が平べったくなっている

鎖骨遠位端のもう一つの特徴として、

鎖骨骨幹部は円筒状なんですが、
鎖骨遠位端はかなり平べったい骨である
ということです。

その結果、上下にずれてしまった
鎖骨遠位端骨折は
骨折部の接触面積が少なく、

骨のくっつきに時間がかかることがあります。

鎖骨骨幹部骨折は
非常にくっつきがいいので、
手術になりにくいと説明しましたが、

逆に鎖骨遠位端骨折は、
骨のくっつきに時間がかかることが多いです。

 

また、この平べったい形は、
手術の固定法にも影響します。

平べったいということは、
薄いと表現してもいいと思いますが、

そのため、金属による固定性が足りなくなることがあります。

そこをどうにかしようと、
様々な手術方法が開発されて、
工夫されています。

鎖骨遠位端骨折の治療法

それでは、この鎖骨遠位端骨折の特徴を踏まえて、
治療方法について解説していきます。

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クラビクルバンドより三角巾が重要

まず、手術以外の方法ということで、
保存的な治療になりますが、

鎖骨遠位端骨折では、
鎖骨の短縮というモノはあまりなく、

上下にずれることがほとんどです。

そのため、重要なのは、
三角巾による腕の重みを支えることです。

鎖骨遠位端骨折に対して、
クラビクルバンドだけで、
三角巾や装具などの指示がなかった場合は
注意してください。

詳しくはこちらの記事もご参照ください。

鎖骨骨折のクラビクルバンドは万能ではない! その使い方は?

2016.10.29

手術は骨折のタイプによって様々

次に手術についてですが、
たくさんの工夫がなされており、

それぞれ個々の骨折の形に対して、
どういう手術がいいかを考えて、
提案していくことになります。

それぞれのコンセプトを理解していただければと思います。

 

まず原則ですが、

手術が必要な鎖骨遠位端骨折は
先ほど述べた、
烏口鎖骨靱帯が損傷しているか、
烏口鎖骨靱帯がついている部分が
特殊な折れ方で下に残ってしまった形で

治療のポイントは
烏口鎖骨靱帯による安定化効果が効かなくて、
骨が上に跳ね上がっているのを
どのように元の位置にとどめるか?

ということになります。

針金でとめる

昔から行われている方法で、
いまもなお、主流のひとつです。

骨折して分かれた2つの骨が、
しっかりした骨であれば、
(つまり、粉砕などをしていない)

この針金でも十分固定できるので、
選択されることはあります。

プレート固定

折れて分かれた骨自体が十分な強度がなく、
針金では心許ない。

そんなときには
プレートが選択されます。

一般的なプレートについてはこちらの記事も
ご参照ください。

鎖骨骨折のプレートを使った手術法の利点欠点解説!

2016.10.31

こちらの記事であるように、
固定性を上げたロッキングプレートというものが
この場合にはよく使われます。

しかし、
平べったく、固定性が出にくい鎖骨遠位端骨折では、

さらに、
プレートの形状で鎖骨遠位を抱きかかえるようにして、
固定してしまうスコーピオンプレートというものや、

引用画像:達人が教える外傷骨折治療 全日本病院出版会

引用画像:達人が教える外傷骨折治療 全日本病院出版会

引用画像:達人が教える外傷骨折治療 全日本病院出版会

引用画像:達人が教える外傷骨折治療 全日本病院出版会

 

 

肩峰という肩甲骨の骨の下からにひっかけて、固定する
フックプレートというモノも使われます。

引用画像:肩関節の手術 (整形外科手術イラストレイテッド) 初版 中山書店

引用画像:肩関節の手術 (整形外科手術イラストレイテッド) 初版 中山書店

引用画像:肩関節の手術 (整形外科手術イラストレイテッド) 初版 中山書店

引用画像:肩関節の手術 (整形外科手術イラストレイテッド) 初版 中山書店

靭帯修復や靱帯再建のみ

また、固定する骨が心許ないなら、
骨を直接固定せずに、
損傷した靱帯を治したり、補強しよう!

という方法です。

靱帯を修復すると言っても、

烏口鎖骨靱帯を直接縫うという方法では、
強固な安定化は期待できないので、

靱帯に沿って、人工靱帯や、
非常に強い糸を通して固定する
という方法がとられます。

関節鏡という内視鏡を使ったり、
リアルタイムのレントゲンを見たりしながら、

小さな傷でできる手術として、
最近は少し増えてきている印象があります。

 

このように鎖骨遠位端骨折はその位置や
骨自体の形状の特徴から、

様々な工夫をして、骨をくっつけようと
トライしているのが現状です。

よく主治医のお話を聞いて、
わからないことは質問しながら
治療を受けていただければと思います。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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