骨折のギプス 痛みや外すタイミングまであらゆる悩みに専門医が答えます

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は骨折してしまった時のギプスについて解説いたします。

骨折自体が人生で何回もすることは少ないわけで、ギプスに慣れている人なんて滅多にいません。

それにもかかわらず病院でのギプス生活のアドバイスは十分ではありません。どうしても短い診療時間の中ですべての疑問を解決できません。

ご質問いただいたことは答えますが、質問もその場ですべては思いつかないですよね。

ということで、骨折の時のギプスにおいて多い質問をピックアップしてお答えしたいと思います。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

骨折してしまった時のギプスの意味

まずはなぜギプスをやるのか? そもそもギプスをしないといけないのか?

ということですね。

 

骨折というのは骨が折れた状態なわけですが、すごくシンプルに言うと、まっすぐな骨が曲がりそうな力が加わり折れてしまったわけですね。

ですから、折れたときは程度の差こそあれ、曲がったり、ズレたりしているわけです。

それをもとの形に戻す作業「整復(せいふく)」と言うわけですが、その状態を「キープ」することが同じくらい大切です。

でないと、生活しているうちに、また骨折したところで曲がったり、ズレたりしてしまいます。

この整復状態をキープすることを「固定」と言いますが、 手術でネジなどで骨を直接固定することを「内固定(ないこてい)」ギプスなどで骨折部位が動かないようにすることを「外固定(がいこてい)」と言います。

 

つまり、ギプスは骨折がいい位置で動かないようにキープする役割を果たしているということですね。

ギプスとシーネの違い

この「外固定」ですが、

ギプスだけではありません。

 

ギプスというのは足(脚)や腕を全周性にカタい素材で覆ってしまう固定方法です。グルグル巻きということですね。 昔は石膏でしたが、今は濡らすと固まるプラスチック製がほとんどです。

引用画像:ビジュアル基本手技-カラー写真で見る!骨折・脱臼・捻挫-羊土社-

 

しかし、全周性にグルグル巻きにすると、骨折部位の腫れの「逃げ場」がありません。

そうなったときにどうなっちゃうかというと、ギプスの中の圧力が高まって(正確には筋膜の中ですが)、筋肉に血が巡らなくなり、最終的には筋肉が死んでしまいます(壊死)。

 

ですから、腫れが強い時期はギプスではなく、「シーネ」で固定するということをやります。

「シーネ」は副木、添え木、副子とも言います。

ギプスと違って全周性ではなく、ある面だけカタい素材(同様に濡れると固まるプラスチック製)を当てて、それを腕や脚ごと包帯で巻く方法です。

固定性はギプスに劣りますが、腫れの逃げ場があるので、最初はシーネで固定することが多いです。

※ただ、本当はズレやすい最初こそ固定性が大切なので、僕はリスクを最低限にしたギプスを巻くことも少なくありません。これは医師の経験と患者さん自身の注意とリスク理解が必要です。

骨折のギプスに関するQ & A

それでは骨折のギプスの基本知識をおさらいしたところで、よくある質問にお答えしていきたいと思います。

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ギプスを巻いた後の痛みは大丈夫?

まずギプスを巻いた後に痛いというとき・・・ 心配ですよね。

痛み具合は骨折の部位や骨折の重症度にもよりますが、少し痛みの性質でケースを分類してみます。

骨折したところの痛みの場合

これは骨折しているわけですから痛くて当然とも言えますが、骨折をしっかり動かないように固定できているならそこまで痛くないとも言えます。

しっかりとギプスで固定できているか、実際はゆるゆるで中で動いてしまっていないかを確認してみましょう。

時にはギプスが折れてグラグラしてしまっていることもあります。

 

そこが大丈夫そうであれば、次の確認です。

腕であれば、指、
脚であれば足の趾は動きますか?動かすときに痛くないですか?

指の方まで痛い場合

もし指(趾)が動かせないくらい痛いようなときは要注意です。

前半でも解説した、腫れの逃げ場がなくなっている状態の可能性があります。

これをコンパートメント症候群といいます。

 

腫れの逃げ場がなくなり血が巡らなくなる筋肉の多くは指(趾)を動かす筋肉を含みますので、骨折した部位とは別に指の方まで痛い場合は要注意ということです。

治療を受けた病院か、夜間や休日であれば、救急病院に急いで連絡しましょう。

ギプスが中で当たって痛い場合

ギプスがうまくフィットしていない場合や骨の出っ張りにギプスが当たってしまうことで痛みがでることがあります。

この場合は早めに病院を再受診して、巻き直しなどを検討してもらいましょう。

ギプスを巻いたあとのしびれは何が原因?

ギプスを巻いた後に、手や足のしびれが出たとしたら、心配になりますよね。

この場合は、ギプスが主要な末梢神経を圧迫してしまっている可能性もありますし、何度か出てきているコンパートメント症候群の前兆でもあります。

どちらもできるだけ早めに病院を再受診したほうが安心です。

 

先ほどと同様、指や趾の動きに明らかな影響が出る場合は救急外来の受診を検討いただきたいくらいの緊急性です。

ただ、なんとなくしびれる程度であれば、末梢も末梢の細い神経を骨折の腫れによって圧迫しているだけのこともあります。

いずれにしろ主治医の判断をあおぐことが大切ですね。

ギプスを巻いたままでレントゲン写真は撮れるの?

骨折ではレントゲンを定期的に撮るのが基本ですが、ギプスを巻いたまま撮ることはよくあります。

ギプスはある程度、レントゲン写真で透けるので、骨は見えます。ですから、ギプスを外すことでズレるリスクがある骨折ではそのままレントゲンを撮ります。

 

骨折時 ギプスなし

骨折整復後 ギプス有り

ただ、ギプスがない場合に比べると細かくは見えないので、ギプスを外すか迷うくらいに骨がくっついてきている段階ではギプスをカットしてからレントゲンを撮るということもやります。

ギプスの中が臭い・かゆいのはどうしようもない?

これも非常に多い相談です。

「我慢してください!みんなそうです!」

で済まされがちですが・・・

 

でも、だからといって外してしまって骨折がズレたら、今までの治療が水の泡ですから・・・

扇風機の風をギプスの入り口に当てると少しはまぎれたと言う人もいました。これは効果はギプスの形状にもよるでしょうが、オススメですね。

臭い対策にもかゆさ対策にも多少は効果がありそうですね。

 

逆にやってはいけないこととしては、ギプスが水分を含むような作業です。

消臭作用のある液体をスポイトでギプスの中に注入するなんて、とんでもない情報も聞きましたが、やめてくださいね。 ギプスは濡れるとダメになります。

 

あとは、割り箸などをギプスの中に突っ込んで掻いている人がいます。気持ちはわかりますが、皮膚のことを考えるとオススメはできないんです。

ギプスカットしてみたら、その掻いたあとが真っ赤でミミズ腫れなんてこともありました。要は、ギプスで隠れて観察ができない皮膚に悪い刺激を与えることになってしまうわけですね。

ギプス中のお風呂はどうするのがベスト?

ギプス中のお風呂ですが、先ほども述べたとおり、ギプスは濡らすとダメになります。濡らすの厳禁です。

いつもオススメしているのは、

ビニール袋などを2重にしてギプスが巻かれている部分を完全に密閉した状態で、ホンの短時間、汗を流す程度のシャワーにすること

です。

 

骨折部の治癒に有利になるから、お風呂に入って身体を温めましょうなんて言う人もいますが、

  • 骨折してから1–2週間は腫れが悪くなるだけなので絶対ダメ
  • それ以降もギプスの中で汗を掻いて、皮膚の状態が悪くなって、かゆみや臭さで辛い思いをするからオススメできない

ということになります。

足のギプスを巻いたまま歩いて大丈夫?

ギプスを巻いたまま歩くのは・・・基本はダメです。

 

ギプスにもゴム性のヒールというパーツを取り付ければ体重をかけることができますが、ギプスだけで体重をかけているとギプスが割れてしまう危険があります。 松葉杖を使ったり、壁などに捕まりながら、わずか短距離を歩くときにちょっと足をつくくらいなら壊れないとは思いますが・・・

一番大切なのは、骨折の状態として体重をかけることが許される状態かを確認することです。ギプスだろうがなんだろうが、体重をかければ骨折部にも力が加わりますから、ズレるリスクがでます。そこは主治医に確認を取りましょう。

ギプスは言えば交換してくれるの?

臭い、かゆい、汚くなった・・・

ということで、ギプス交換を希望されるケースがあります。

 

ギプスを交換する、つまりまき直すときには必ず一度外さないといけません。

当然ですね。

その瞬間に骨折がズレてしまう。

そのリスクが少しでもあると考えれば、患者さんの希望だけではギプス交換はしません。ごめんなさい。

 

主にギプス交換をするときは、骨折がだんだんくっついてきて、ギプスを巻く範囲を小さくするときや、逆にずれてきてしまって、整復し直すときなどです。

まとめ

今回は骨折してしまった時のギプスについて解説いたしました。

なぜギプスをするのか?ということをご理解いただいた上であれば、いろいろな質問に対する答えも納得しやすいかもしれません。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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