コーレス骨折の大きな合併症と小さい合併症をまとめて解説 専門医

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

コーレス骨折とは橈骨遠位端骨折の中で最も多い形の骨折です。 橈骨遠位端骨折にはコーレス骨折の他にもスミス骨折、バートン骨折などいくつか横文字がありますが、このコーレス骨折は手首が手の甲側(手背側)にずれてしまう骨折です。

このコーレス骨折の合併症、つまり、骨折をしてしまってから治療、完治までの間で起こりうるリスクについて専門医の視点からわかりやすく解説しますのでおつきあいください。

そもそも「橈骨遠位端骨折って?コーレス骨折って?」 という段階の人もいらっしゃると思いますので、後半のおさらいコーナーから先にご覧いただくのもオススメです。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

コーレス骨折の大きな合併症

コーレス骨折の合併症として、できる限り防ぎたい大きな合併症からお伝えします。

骨がくっつかない:遷延治癒(せんえんちゆ)・偽関節(ぎかんせつ)

まずシンプルにマズイ状態は、骨折がくっつかないという状況です。

これは全く治ってないという感じですよね。

骨がくっつくには環境が大切です。その環境は

  • 骨折した骨と骨ができる限り近い位置にあること
  • 骨折した骨と骨がグラグラ不安定でないこと
  • 骨折した骨とその周りの血の巡りが良好なこと

これらが基本的に必要な環境です。

しかし、骨折がズレてしまっていたり、固定がゆるくてグラグラしていたり、開放骨折など周りの血の巡りが悪かったりすれば、骨がくっつかないということが起こりえます。

通常の骨折はだいたい6週間くらいでくっつきますが、それが遅れるのが遷延治癒(せんえんちゆ)と言われる状態で、さらに、骨がくっつく能力が完全になくなってしまった状態が偽関節(ぎかんせつ)という状態です。

これは舟状骨という骨の偽関節です。

骨折部分が関節のように動いてしまうから偽関節というわけですね。

骨が変形してくっつく:変形治癒

次に骨が変形してしまう状態です。

変形治癒と言います。

完全に元通りというのが難しい骨折は多々ありますが、それでも、くっついたあとに後遺症を残しにくい許容範囲というものがあります。

それを越えた変形は関節の動きを大きく制限したり(カタくなる)、痛みが残ってしまったり、神経の圧迫を起こしてしまったりなど後遺症の原因になることがあります。

コンパートメント症候群・フォルクマン拘縮

コンパートメント症候群というのは、ザックリ言うと、損傷部が腫れすぎて筋肉を中心として血が巡らずに壊れてしまう状態です。

コンパートメントというのは筋肉の区画のことを言って、筋膜という膜でいくつかの筋肉はグループ分けされています。 この区画のどれかが腫れて、筋膜に囲まれた区画内の圧力が限界を超えると、血が巡らなくなって、その区画の筋肉が壊死していきます。

そうなると前腕の筋肉の場合は手首や指が動かせなくなったり、激痛が走ったり、しびれたりします。

そして、最終的には手首や指が変形した形で動かせなく拘縮してしまいます。これをフォルクマン拘縮と言い、われわれが治療中に絶対避けたい状態として認識しているモノです。

※ちょっと上のイラストは正確ではなくて、MP関節という3つめの関節は逆に伸展するのが典型的なフォルクマン拘縮です。

神経障害

骨折の時の衝撃やズレた骨、または手術処置やギプスの圧迫など、さまざまな要因で神経はダメージを受けます。

神経というのは非常にデリケートな組織なので、ちょっとしたことで指の動きが悪くなったり、しびれが起こったりします。

特にコーレス骨折で注意が必要な神経は正中神経という神経で手首の手の平側を通ります。この正中神経がダメージを食らうと、親指から薬指の半分までがしびれたり、指を曲げる動きが弱くなったりしますので注意が必要です。

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血管損傷

手首の骨折において太い血管がやられてしまう血管損傷は多くありません。

開放骨折などの重症型ではあり得ますが、通常は血管は丈夫なので損傷は少ないです。ただ、損傷してしまえば一大事です。

特に手首であれば橈骨動脈という、通常、脈拍を測るときに触れる動脈が大切です。

手術後の細菌感染

手術後は細菌感染、すなわちキズが化膿しないかどうか注意を払います。

どうやったって手術中に完全に菌がない状態にはなりません。皮膚にも菌がいるからです。極端な話、皮膚を滅菌(菌がいない状態にする)処置をすれば、菌も死にますが、皮膚も死にます。

ということで、手術中に創の中を大量の水で洗ったり、術前後の抗生物質の点滴で通常は化膿せずに治ってくれるわけですが、

ごく稀に感染してしまうことがあります。

まずはキズの周りが赤く腫れてきて、さらに中から膿が出てくれば重症です。再度手術をしないといけないこともあります。

コーレス骨折の小さな合併症

ここまでのお話で出てきた大きなモノに比べれば、影響は少ないかもしれませんが、それでもやっぱり困るもので、かつ比較的頻度が高い合併症を紹介します。

ギプスなどによる皮膚障害

手術をしてもしなくてもギプスやシーネなどで手首を一時期固定します。

その固定の中で蒸れての皮膚炎だったり、骨折を整復してしっかりズレてこないようにするためのギプスが皮膚を押しすぎて、皮膚が大きく荒れてしまったりということが起こりえます。

たいてい、その部位が痛いので、その場合は一端ギプスを外して皮膚を観察することで大事に至らないことが多いです。

手術後のキズのケロイド・肥厚性瘢痕

手術後のキズがミミズ腫れのようになってしまうことがあります。

 

これは体質が大きく関係していると考えられています。

外観上、気にする方は多いので、形成外科の先生に依頼をして、少しでもキレイなキズになるように処置をしてもらうこともあります。

手首から手指のむくみ(浮腫)

手首から手指がむくむということはある程度は必発です。

コーレス骨折後、骨折部周囲の腫れのせいで血の巡りは悪くなり、それより末梢はどんどんむくんでいきます。

それを防ぐには手を高く挙げておくことと、指をよく動かすことが基本です。

コーレス骨折とは?

まず手首の骨折において
最も頻度が高い、
橈骨遠位端骨折についてカンタンに解説いたします。

コーレス骨折も橈骨遠位端骨折の1つです。

橈骨(とうこつ)とは
前腕を構成する2本の骨のうち、
親指側の骨であり、

手首側で太くなって、
手首の関節の主役の骨です。

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その橈骨の「遠位端」ですが、

遠位と近位という言葉は医学において
よく使われます。

心臓(身体の中枢)に近い方を近位
遠い方を遠位

すなわち、遠位は手の指に近い方になるわけですね。

そのため、肘から手首までの前腕の骨である
橈骨においては、
遠位端というのは手首を表します。

長々と説明いたしましたが、
要は、橈骨の手首側の骨折

それが橈骨遠位端骨折となります。

コーレス骨折とは?

橈骨(とうこつ)という前腕の骨の手首側の骨折を橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)というわけですが、

この橈骨遠位端骨折のうち、先端が手の甲側にズレている骨折をコーレス骨折(Colles’s fracture)といいます。

 

このコーレス骨折が一番多い理由は、その骨折が起こるメカニズムです。

通常、転倒などをしてしまったときに、身体を支えるために手を地面につくと思います。そのときにほとんどのケースでは手の平から地面につきます。 そうすると、手の平から手の甲側に力が加わりますから、骨折した場合に手の甲の方に手を含む骨折の先端がズレるわけです。

まとめ

今回はコーレス骨折の合併症について大きなものと小さなものの代表的なものをそれぞれご紹介いたしました。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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