モンテジア骨折の手術からリハビリまでまとめて専門医解説

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

モンテジア骨折(Monteggia fracture)は僕ら整形外科医が子どもの肘周囲の骨折、脱臼で特に注意を払っている外傷です。

これは単なる骨折でも単なる脱臼でもなく、

骨折 + 脱臼

そして、それぞれが絡み合って治療を難しくしているという厄介なものです。

今回はこのモンテジア骨折とは?という基本から、何が厄介で、治療はどうするのか?リハビリのポイントは?

といったことについて解説していきたいと思います。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

モンテジア骨折とは?

モンテジア骨折はもともとは1814年にMonteggiaという人が発表した骨折です。当時は尺骨の肘よりの骨折と橈骨頭の脱臼ということでしたが、

最近は尺骨はどこで折れても、ときに、折れたというか曲がったというような状態(急性塑性変形:acute plastec bowing)も含んでいるような認識です。

詳しく見ていきます。

尺骨の骨折

まず尺骨の骨折です。

尺骨は橈骨と並んで、前腕(手首から肘)を構成する骨です。

  

手首の小指側で、肘においては橈骨より尺骨のほうが大きな体積を占めます。

この尺骨が折れたり(骨折)、曲がったり(急性塑性変形)すると、たいていは尺骨の長さが短くなります。

でも、平行して橈骨という骨が走っているので、尺骨が折れると橈骨にも影響が出るんですね。

ということで・・・

橈骨頭(とうこつとう)の脱臼

尺骨が折れて、短くなると、すなわち手首から肘の距離が短くなるということです。

その結果、橈骨も短くなるように橈骨骨折が起こることもあります。 これはモンテジア骨折ではなく両前腕骨骨折(もしくは橈尺骨骨折)と言います。

橈骨が折れなかった場合は、橈骨が脱臼して短くなります。

橈骨は肘では細く、もともと不安定な構造なので外れるとすれば大抵「肘」です。

肘関節における橈骨は橈骨頭という名前がついた先端になっています。 この橈骨頭がもともとの位置から、前か後か横に脱臼してしまうのが橈骨頭脱臼です。

モンテジア骨折は何が問題?

モンテジア骨折の問題点は骨折だけでなく、脱臼もある

脱臼だけでなく、骨折もある

ということに尽きます。

骨折だけなら、多少のズレや短縮があってもくっついてくれれば大きな後遺症は残さないことも期待できますが、 モンテジア骨折の場合は多少のズレでも短縮が残れば脱臼がきちんと治らない、それどころか整復できないなんてことが起こります。

橈骨頭の脱臼が治りにくい

橈骨頭はもともと、肘の中でもそんなにキレイにはまり込んでいる安定した関節部位ではありません。

そんな中で尺骨の骨折による短縮が少しでも残っているせいで、一時、整復できたように見えた脱臼もリハビリの過程でだんだん外れてくる・・・ なんてこともあります。

神経が近くを走っている

脱臼した橈骨頭の近くには橈骨神経とその分岐した枝である後骨間神経が近くを走っていますので、脱臼のときや、その整復、手術などのときに傷めてしまったり、圧迫してしまうことがあります。

 

その結果、下垂手(かすいしゅ)と呼ばれる状態になることがあります。これは手首が反らせない、指が伸ばせないという状態です。そのため、手がダランと垂れた状態になってしまうわけです。

モンテジア骨折の手術まとめ

このモンテジア骨折の治療ですが、必ず手術というわけではありません。

まず考えるべきは、できるだけ速やかに脱臼を整復するということです。

手術をしなくてはいけない?

受傷してから時間が余り経っていなければ、手術でなくても尺骨の骨折の変形を真っ直ぐにするように力を加える(骨折の整復操作)ことで、橈骨頭の脱臼も整復されることが多いです。

これを徒手整復(としゅせいふく)と言います。

もちろんその操作はとっても痛いので何らかの麻酔をして行うことが多いです。

 

一番確実なのは全身麻酔ですが、なかなか骨折の緊急でそれが叶うことは少なくて、骨折部分に注射をする血腫ブロックという麻酔を行うこともあります。

それ以外にも神経ブロック注射もよく行われますが、なかなか、完全に痛みをなくしての処置は難しいので、結構なガンバリが必要です。

そのガンバリのかいあって、整復できれば、その整復された状態でシーネという添え木をあてて包帯で固定します。

固定してもだんだんまた外れてくることがあるので定期的にレントゲンをチェックすることになります。

手術法は?

徒手整復では戻りきらないケースや、固定していてもズレてきてしまうケースでは手術が選択されます。

その手術法はいくつか方法がありますが、通常は関節を展開した上で、橈骨頭を整復しつつ、骨折した尺骨にステンレスの針金(キルシュナー鋼線)を骨折部をまたいで串刺しにするような感じで挿入します。

画像引用元:肘関節外科の要点と盲点 (整形外科knack & pitfalls)第一版 文光堂

それでも整復できないときは骨を切って角度を変えたり、骨を移植して長さを伸ばしたりというような微調整も必要になることがあります。

画像引用元:肘関節外科の実際ー私のアプローチ 第一版 南江堂

モンテジア骨折後のリハビリ

モンテジア骨折後のリハビリですが、子どもの場合は関節の拘縮は起こしにくいので焦って無理に曲げ伸ばしを矯正することはしません。

むしろ、それは逆効果になりますが、

それでもまったく動かさなければカタくなりますから、ある程度のリハビリテーションは必要です。

自動可動域訓練リハビリ

その際の基本は自分の力で曲げ伸ばしをする自動可動域訓練というものです。

スポーツする子どもさんにはよく「筋トレだぞ!」っていいながら、訓練を促したりするとやってくれたりします。

逆に誰かに無理矢理曲げ伸ばしをされるというリハビリは肘の場合はたいてい逆効果です。最悪、異所性骨化といって筋肉や軟部組織が骨化して、逆にカタくなってしまうことすらありますので注意が必要です。

前腕の回内外リハビリも忘れずに

また手の平を上に向けたり、下に向けたりと、童謡のきらきら星の踊りのような動きである前腕回内外もモンテジア骨折の場合は重要です。

この動画は回外運動のストレッチですね。回内はこの逆です。

前腕の回内外で橈骨頭は回転しますから、そこが外れていたモンテジア骨折ではこの動きで引っかかりや、カタくなっていることがあります。

肘というと曲げ伸ばしだけと思いがちですが、この回内外訓練も非常に大切な訓練です。

まとめ

今回はモンテジア骨折のほとんどを占める子どものケースについて解説いたしました。基本的な概念と治療についてはまとめてありますので参考になればと思います。

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