基節骨骨折の治療期間のリハビリを専門医が解説します

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

基節骨骨折は指の骨折の中でもちょっと厄介な部類に入る骨折です。 治療がうまくいかないと指が変形したり、カタくて握り込めなかったりとかなり日常生活レベルでも困ったことになりかねません。

今回は手の指の基節骨骨折の治療、その治療期間の目安とリハビリテーションについて解説します。

後半には基節骨骨折の基本のおさらいコーナーも設けておりますのでご覧ください。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

基節骨骨折の治療期間はどのくらいでどんなことをする?

まず基節骨の治療期間の目安と治療内容についてお伝えします。

治療期間は骨がくっつくまで + リハビリ完了までの期間

治療期間の目安の考え方としては、

骨折した骨がくっつくまでの期間がだいたい5週間、さらに骨がくっついてから本格的にリハビリとして動かすことが多いので、リハビリ完了まで5週間。

合計10週間、つまり2ヶ月半くらいをみてもらっていて、

もっと軽症のヒビ程度の骨折ならその半分くらいで完了することもありますし、もっと重症な骨折なら3ヶ月以上かかることもあると考えてください。

基節骨骨折の治療

この基節骨骨折の治療ですが、手術するかしないかというのが大きな違いです。

シンプルにズレが少なく、安定した骨折は手術が不要ですが、変形を残しかねないズレやだんだんズレが増してくる不安定な骨折は手術が必要です。

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保存治療:ギプスやシーネ、テーピング

手術をしない保存治療では骨折部がズレないように固定をします。

基節骨は第二関節(PIP関節)と第三関節(MP関節)の間の骨ですから、この2つの関節は少なくとも固定します。

これはナックルキャストと呼ばれるギプスだったり、それに近いシーネ(副木)+包帯だったり、金属の板(アルフェンスシーネ)とテープだったりとケースバイケースで固定に使うモノが変わります。

第三関節を伸ばして固定されたら要注意!

ただ、何を使おうが注意してほしいのが、第三関節(MP関節)です。

よほど特殊な事情がない限りはMP関節は曲げて固定です。 残念なことに整形外科医でもこの大原則を知らないのか、忘れているのか、MP関節を伸ばして(パーにしたような)固定していることがあります。

もしそういう固定をされた場合は質問してみましょう。そこで納得いく答えが返ってくればいいかと思いますが、それでもMPを伸ばしっぱなしでの固定はできるだけ短期間にすべきです。

一番の理由はMP関節を伸ばして固定すると、その状態でカタくなって(拘縮して)曲げられなくなるからです。これは細かいことは省きますが、MP関節の側副靭帯という靭帯が短くなってしまうせいと考えられています。

手術:針金やプレートによる固定

手術をした方がいいようなズレ具合があれば、手術になります。

ズレが小さいように見えて、時に骨折部が回旋していることがあります。ねじれているような感じですね。

そうすると、指を伸ばしているときはまっすぐでも、曲げてグーを作ると指が隣の指と重なったり、交差したりしてしまいます。 これをクロスフィンガーと言って、これは矯正しないといけません。

手術は神経ブロック麻酔で日帰りでできることが多いです。ただ、どうしても怖いとか小さい子どもの場合は全身麻酔で寝た状態での手術もやります。その場合は短期ですが入院になります。

引用画像:手の外科の要点と盲点 (整形外科Knack&Pitfalls) 第一版 文光堂

手術の基本はキルシュナー鋼線という針金で骨折部を串刺しにしてしまう方法ですが、

それでは太刀打ちできないレベルの骨折の場合はプレートという板状の金属越しに細いネジ(スクリュー)を入れたりもします。

引用画像:手の外科の要点と盲点 (整形外科Knack&Pitfalls) 第一版 文光堂

基節骨骨折のリハビリ

この基節骨骨折のリハビリですが保存療法の場合は骨がある程度くっつくまで(最低3–4週)は、固定しているので、その固定が外れてからのリハビリです。

手術した場合はすぐにリハビリ開始できることもありますが、針金で固定した場合はその針金のせいであまり動かせないこともあり、結局本格的なリハビリは骨がくっついて針金を抜いたあとになることもあります。

指の曲げ伸ばしの訓練が基本

指のリハビリは基本的には曲げ伸ばしです。

第三関節のMP関節は指を開いたり閉じたりという内外転運動もありますが、それがかたくなっちゃうことは少ないです。

やはり曲げ伸ばしがかたくなりやすいので、そこを重点的にやります。

ここで注意なのは指には3つの関節があるので、曲げてるつもりで曲がってない、伸ばしてるつもりで伸びてないということが往々にしてあります。

一つ一つの関節を他の指や逆の手の指の動きと比較しながら、一日一日、昨日よりも5度でも曲がるように伸びるようにじわーっと10秒目安でギリギリの状態をキープするようなリハビリをお勧めしています。

最初は自力で逆の手も使わずにただ、曲げ伸ばしをじわーっとやる自動可動域訓練からやり、より骨が安定したと判断したら、逆の手を使って多少のスパルタ訓練(他動可動域訓練)をやります。

 

基節骨骨折の基本をおさらい

基節骨とは?

基節骨(きせつこつ)というのは指を構成する一番根本の骨です。

指先から末節骨(まっせつこつ)- 中節骨(ちゅうせつこつ) - 基節骨

という構成になっていて、

その間の関節を指先から第1関節(DIP関節)、第2関節(PIP関節)、第3関節(MP関節)と呼んでいます。

基節骨骨折の種類

この基節骨骨折は主に3種類にわけられます。

基節骨関節内骨折

指の第2関節(PIP関節)もしくは第3関節の半分は基節骨です。

この関節部分は軟骨に覆われていて、つるっとスムーズな形をしています。 それが骨折でずれて段差になってしまうと、指を動かす時にもスムーズでなくなります。

結果、痛みや可動域制限(かたくなる)が残ったり、将来的な軟骨のすり減り(変形性関節症)に繋がります。

それだけシビアな治療が求められる骨折です。

基節骨骨幹部骨折

骨幹部骨折は骨の幹にあたる骨折です。 一番一般的な骨折と言っていいでしょう。

これは子どもの骨端線損傷ですが、大人で言えば骨幹部骨折に相当します。

細長い骨ですから、真ん中あたりが折れやすいのは当然ですね。

基節骨裂離骨折(剥離骨折)

関節近くには靭帯が付着しています。

この靭帯は側副靭帯という内側と外側についている靭帯と、手の平側についている掌側板(しょうそくばん)という靭帯があって、

それぞれ、関節が過度に反ったり、曲がったりしないように頑張ってくれていますが、

耐えきれない力が加われば、靭帯が切れてしまうか、靭帯が付着する骨ごと剥がれてしまうわけです。

この後者を裂離骨折(よく使うのは剥離骨折という名前ですね)と言います。

これは骨片が小さいケースが典型的で、その場合は、靭帯損傷と同じように治療して問題ないことが多いです。

 

まとめ

今回は指の基節骨骨折の治療期間の目安と治療内容、リハビリテーション内容について解説いたしました。

骨折というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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