踵の骨折で注意したい後遺症と後遺症診断書について専門医解説

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

かかとの骨の骨折、すなわち踵骨骨折(しょうこつこっせつ)において注意したい後遺症について解説いたします。 踵骨は足にとって重要な骨で、かつ、治療が少し難しい骨折になりやすいという特徴があります。どんな後遺症を注意しながら治療しているかということを知っていただくことは有益なことだと思います。

また、後遺症が残ってしまったときに後遺症診断書というものを提出して、後遺症等級認定を受けるという方法がありますので、それについても解説いたします。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

踵の骨折で注意すべき後遺症

踵骨骨折で注意すべき後遺症として3つの後遺症を解説します。

皮膚の障害(変色・感染・しびれ・むくみ)

かかとの骨の周囲は皮下脂肪も薄く、筋肉も腱くらいしかないので皮膚から骨までの距離が短い、薄い場所です。

そのため、血の巡りも悪く、皮膚に障害が起こることがあります。

 

特に手術をして皮膚を大きく切開した場合に多いわけですが、そうでなくても、骨折のあとに内出血大きな腫れが出現し、さらに水ぶくれ(水疱)が多発するといよいよ皮膚のコンディションは悪いです。

最悪なのはそこから感染(化膿)してしまって、瘻孔(ろうこう)という穴が空いてしまったり、周りにどんどん拡がってしまったりなんてこともあり得ます。 その場合は中を洗浄したり、抗生物質の点滴を入院しながら継続する必要が出てきたりします。

そこまででないにしろ、皮膚の色が変わって(色素沈着)、厚ぼったい感じが残ったり、むくみやすい状態になったり、しびれがのこったりというような後遺症は比較的多いと言えます。

防ぐにはケガの直後や手術の直後が大切

これらを防ぐにはケガや手術の直後が大切です。いかに腫れや内出血を少なくするかを考えます。

そのために足を高く挙げて(心臓より高く挙げて、腫れや内出血を心臓に戻すようなイメージです)、多少の圧迫と多少のアイシング、固定を行うのが基本です。

外傷後の基本であるRICE療法ですね。

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体重をかけるときの痛み

かかとの骨は体重がダイレクトにかかる骨ですから、骨折後の後遺症として体重をかけたときの痛みというのは起こりうるものです。

歩くくらいは大丈夫でも走ったり、ジャンプの着地などが痛いという後遺症は少なくありません。

防ぐにはできるだけいい形で骨が治ること

これを防ぐには、できるだけいい形で骨が治るということが必要で、そのために手術を行うことがあるということですね。

さらにリハビリテーションは徐々に体重をかけていくわけですが、ここで医師の指示の範囲内であれば怖がりすぎないことがポイントです。

長い間、かかとに体重がかからないと骨が弱ってしまう(骨萎縮)ことがあって、それが痛みの原因になることがありますので、やはり、適切なバランスのいい刺激というものも必要だということになります。

足首の可動域制限・拘縮

足首の可動域制限、すなわち拘縮(関節がかたくなってしまうこと)も起こりうるものです。

特にかかとの骨である踵骨はその上の距骨(きょこつ)と距踵関節(きょしょうかんせつ)を形成していて、足首の動きとしては、内がえし、外がえし、もしくは回内外という動きを担当しています。

詳しくは後半のおさらいコーナーをご覧ください。

また固定が長くなるために足首の底背屈の拘縮も直接は関わらないかかとの骨折でも十分起こりえます。

防ぐには関節面の骨折の治癒となによりリハビリ

この可動域制限を防ぐには、まず距踵関節の関節面が大きな段差などがなくくっついてくれることが必要です。その上でしっかりとしかる時期に足首を動かす可動域訓練(リハビリ)を行うことが大切です。

踵の骨折の後遺症診断書を書いてもらうときのポイント

次にかかとの骨折における後遺症診断書を書いてもらって、後遺障害等級認定を受けるときのポイントを解説します。

後遺障害とは交通事故による外傷が完治せず、治療を続けてもそれ以上状態の改善が見込まれない状態になってしまったことを指します。

症状固定とは?

その中で症状固定という言葉がよく使われます。

症状固定とは、それ以上治療を続けても症状の大幅な改善が望めなくなった段階を指し、これは我々医師が判断します。

一般的には外傷後、もしくは手術後半年を目安に症状固定としますが、その時点でも次のステップの治療が予定されていたり、リハビリテーションでの改善が続いている場合は、症状固定時期を先に延ばすことはあります。

後遺障害診断書は、等級認定において非常に重要

後遺障害等級認定を受けるにあたって大切なポイントは等級の認定はすべて書面のみで行われるということです。すなわちわれわれ医師が作成する後遺障害診断書次第ということも言えます。

後遺障害診断書を作成できるのは医師のみで、整骨院・接骨院で施術を行う柔道整復師は書けません。必ず病院、クリニックを受診していることが必要です。

また、複数の科(整形外科と外科、皮膚科など)を受診していた場合は、それぞれ複数の後遺障害診断書を作成してもらいます。

後遺症診断書をしっかり書いてもらうポイント

もし後遺障害診断書に不適切な内容を記載された場合、後遺障害等級が本来よりも低くなるか、場合によっては等級そのものが獲得できないこともあります。

僕もときどき後遺症診断書を書きますが、患者さんから得られる情報が正確じゃないと十分な診断書が書けませんので注意しています。逆に患者さんが注意するといいと思う4つのポイントをご紹介していきます。

痛みやしびれなど症状をできるだけ正確に伝える

関節可動域などの客観的な症状、所見と違って自覚症状は患者さん自身が伝えないと医師も把握できません。この自覚症状は等級認定の可否を判断する重要なポイントのようです。手のしびれ、頭が痛い等、どの部位がどのように痛むのか、どんな症状があるか、どんなことで困っているかなどを正確に医師に伝えるようにしましょう。

診断書の記載内容を医師の判断に一任しすぎない

医師に任せておけば全部大丈夫だろうと、全て丸投げしてしますのは危険です。診断書記載に慣れていない医師もいますし、また、診断書を書く時間的な余裕がない医師がほとんどです。時に根気よくコミュニケーションをとらないとしっかりとした診断書を書いてもらえないことがあるようです。

作成後は記入漏れがないか必ず確認する。

後遺障害診断書が完成したら必ず確認しましょう。自分の言ったことが正確に伝わっているか、記入漏れがないかなどをチェックし、記入漏れや間違いがあれば追記を依頼してください。

踵の骨折で考えられる後遺症等級の基準

踵骨骨折で考えられる後遺障害等級についてまとめます。

  • 画像等により骨折部の痛みの原因が証明できる場合 12級13号
  • 上記以外の骨折部の痛み 14級9号
  • 足関節の10%以下の可動域制限 12級7号
  • 足関節の1/2以下の可動域制限 10級11号
  • 足関節の3/4以下の可動域制限 12級7号
踵骨骨折の基本をおさらい

踵骨(しょうこつ)とは?

踵骨というのはまさに「踵(かかと)」の骨です。通常の歩行では最初に踵から地面について体重を支える大切な部位と言えます。

距骨(きょこつ)と距踵関節(きょしょうかんせつ)をつくる

この踵骨の上には距骨(きょこつ)という骨が乗っかっています。この距骨はまさに足首という関節の主役とも言える大切な骨で、足首が動くときには距骨が必ず動いていると言ってもいい骨ですが、

この距骨と距踵関節(きょしょうかんせつ)という関節を形成しています。

この距踵関節は足首の回内と回外という動きを担当します。この関節を境に距骨が内側に傾いたり、外側に傾いたりという動きになります。

こちらで言うと、

  • Inversion:回外 もしくは 内がえし
  • Eversion:回内 もしくは 外がえし

ですね。

内なのか外なのかハッキリしろと怒られそうな用語ですし、回内外と内がえし、外がえしは厳密には違う話ですが、定義もふわふわしているので、考えすぎないのがいいかなとも思います。

アキレス腱の付着部である

踵骨のもう一つの役割はアキレス腱の付着部であるということです。 アキレス腱は踵骨の後ろに付着します。

3d rendered illustration of the achilles tendon

逆に言うと、アキレス腱を下に追って触れていくとカタい骨にあたります。それが踵骨のアキレス腱付着部であるということですね。

このアキレス腱の付着部で骨折してしまうという特殊なタイプの骨折もあり、この骨折の場合はアキレス腱に引っ張られて骨がズレていきやすいという特徴があります。

踵骨骨折の特徴

この踵骨が折れてしまう踵骨骨折の特徴を2つ整理しておきます。

体重をダイレクトに受ける骨

1つはダイレクトに荷重がかかる骨である、体重を受け止める骨であるということです。

つまり、歩く、走る、ジャンプする、といった基本動作において非常に重要な骨であるということですね。重要だからこそ「踵」という漢字が当てられているのかもしれません。

周りの軟部組織が薄い

もう一つの押さえておきたい特徴は周りの軟部組織が薄いということです。

他の骨の多くは筋肉に取り囲まれていたり、厚い皮下脂肪に覆われていたりと皮膚と骨との距離がある程度あるわけですが、踵骨の場合は下は脂肪体と呼ばれるクッション代わりの脂肪が豊富ですが、内側と外側はだいぶ薄いです。すぐに骨が触れてしまうと思います。

この軟部組織が薄いというのは2つのデメリットがあります。

1つは腫れやすいということ、そして、もう一つは手術後の創の治りがイマイチであるということです。その大きな要因は軟部組織が薄いが故に、血の巡りが悪くなりやすいということになります(逆に軟部組織が分厚ければ、多少損傷してもどこかしら血流が保たれます)。

まとめ

今回はかかとの骨の骨折について注意したい後遺症と後遺症診断書を書いてもらうときのポイントを解説いたしました。 少しでも参考になりましたら幸いです。

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