踵の骨折に必要なリハビリを専門医が解説します

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

踵の骨折、すなわち踵骨骨折はいくつかの要因でやっかいな骨折としてわれわれ整形外科医も注意している骨折です。

その治療過程においては手術をしようが、しまいが、常に大切なポイントとなるのが「リハビリテーション」になります。 最終的に足首の動きや体重を支える働きが回復して、日常生活、スポーツ、仕事など様々な場面でフルに使える状態にするためにはリハビリテーションはとても大切です。

踵骨骨折のリハビリテーションのポイントや方法を動画もご紹介しながら解説してまいります。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

踵の骨折に必要なリハビリテーション

踵の骨折においてリハビリテーションはおおきく3段階に分かれます。

  • 第1段階:足首固定時期の筋力訓練
  • 第2段階:足首を柔らかくしていく訓練(ROM訓練)
  • 第3段階:体重をかけていく訓練(荷重訓練)

その順番で解説していきますが、これらの訓練の段階を踏む時期は骨折の状態や手術の有無、手術の出来などによって変わりますので、主治医とよくご相談をお願いします。

足首を固定しているうちは等尺性筋力訓練

骨折したて、もしくは手術したての時は足首は動かせないようにシーネ(+包帯)やギプスというもので固定されています。

それは骨折がズレてしまうことを防ぐのが一番の目的ですから、とても大切なことです。

そこでは片脚の松葉杖歩行の練習や足首以外をよく動かす訓練(筋力維持目的)が基本になります。

さらにもう1つレベルを上げるとすれば、足首周りの筋肉の等尺性筋力訓練を行うということです。

これはギプスやシーネの中で足首は動かせないが力を入れるということです。そうすることで足首は動かなくても筋肉は収縮し、筋力低下を防ぐ効果が期待できます。

この動画は固定はしておらず、逆の足で抵抗して足首は動かさないけれども力は入れている状態を作ってトレーニングをしています。

ギプスをしている場合は足首はかなり強く固定されていますからいいですが、シーネと包帯の場合は包帯は伸びるので力を入れると多少動いてしまいます。そのため、このように動かないように逆の足か手を使って抵抗を加えて力を入れていくことが必要です。

固定が外れたら足首の可動域訓練

シーネやギプスなどの固定が外れれば、当然、足首を動かしていくことになります。

それまで固定していたわけですから、ある程度、足首はカタくなっていますので、また柔らかくしていくということですね。

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最初は背屈 + 底屈

最初は踵の骨に負担がかかりにくい背屈(足首を反らす、つま先を上げる)底屈(足首を曲げる、つま先を下げる)の動きから行っていきます。

※もし踵骨骨折がアキレス腱の付着部の骨折だと、逆にこの動きは負担がかかりやすいので注意してください。

 

一般的に歩く、走るという動作において、

もっとも大きく、しっかり動かなくてはならないのは、

この底屈、背屈になります。

歩くときも、走るときも、
つま先は上下に動きますから。

これを自分でやる場合は、
手やタオルを使って、
つま先を動かしていきます

足首 骨折

画像引用元:ビジュアル実践リハ-整形外科リハビリテーション 羊土社

そのときに、横方向の捻りを加えないよう
気をつけることが大切です。
また、最初は腫れていますし、
動かすと痛みもあります。

ですから、徐々に動かせる範囲、
すなわち可動域を広げていくことが大切です。
通常のストレッチは痛みが出ない程度に伸ばすのが原則ですが、

この場合は可動域訓練は、
主治医の許可があれば、多少の痛みを伴いながらも、
動かせる範囲を広げることに注力します。

ステップ2:足関節底背屈可動域訓練
1.足関節の背屈 5秒20回 3セット
2.足関節の底屈 5秒10回 3セット

徐々に回内外訓練

さらに踵の骨を回内、回外していく動きを加えていきます。

これは逆に踵骨という骨とその上の距骨という骨でできる距踵関節(きょしょうかんせつ)がダイレクトに動きますから、負荷が強めです。強い痛みがないかは注意しながら行います。

足首を捻る動きと捉えて、この動画のようにつま先に力が加わるようなストレッチをやりがちですが・・・

できれば、回内と回外という距踵関節の純粋な動きのストレッチにするために、この動画よりもタオルや手を踵よりに持っていってストレッチすることをオススメします。

こちらは回外のストレッチです。

 

こちらは回内のストレッチです。

 

体重をかけて良くなれば、段階的に荷重訓練(歩行訓練)

そして、いよいよ歩行訓練ですね。

体重をかけるという負荷は、
骨折部に対して相当大きな負荷がかかります。
特にこの踵骨骨折は
骨折部でダイレクトに体重を支えますから、
かなり体重をかけるのは後になります。

1ヶ月以上、松葉杖を使って片足だけで歩きつつ、
体重をかけることを待つことが多いですね。

これを免荷と言います。
そこから、
骨折部の治り具合、
骨のつき具合を、レントゲンなどを見ながら判断し、

徐々に体重をかけていきます。

一般的には
体重の1/3から開始して、
次に1/2や2/3、
そして、全体重をかけていきます。

どのくらいが1/3か、など
不安になりますが、
リハビリで体重計を使いながら、
体重のかけ方を習っていきますので安心してください。

リハビリに必須な装具・サポーター

この荷重訓練は踵にダイレクトに負荷がかかりますので慎重に行います。通常はアーチサポートインソールや踵免荷装具などを使いながらやったりもします。

こちらで詳しく解説しております

踵の骨折に有効な3つの装具を専門医がわかりやすく解説

2018.03.03

グラフィン装具(踵免荷装具)

グラフィン装具と呼ばれるモノで踵に体重がかからず、足の前方で体重を受けるように踵が浮いたような構造になっています。

グラフィン装具の例
(リンク先はテクノブレイスさんのショートタイプグラフィン装具です。)
http://www.technobrace.com/products/product17.html

踵骨骨折の治療成否のポイントはいかに骨がくっつくまで体重をかけないか?ということになります。

しかし、骨がくっつくまでには1–2ヶ月かかりますから、それまで松葉杖や車椅子での生活もなかなか大変ですし、足の筋肉も落ちていってしまいます。

そこで骨折した踵の骨には体重をかけずに、でも、足全体には体重をかけて歩くための装具です。

松葉杖で片脚歩行が難しい人(高齢で歩行が不安定だったり、両手をフルで使えない事情があったり、逆側の足もケガをしていたりなど)や、早期から少しでも足を使いたい人などが適応です。

また、グラフィン装具も多少長いタイプになると足首もしっかり固定されるのでゆるめのギプス固定のような効果もあります。

 

 

アーチサポートインソール

こちらは要は靴の中敷きですが、踵骨骨折の治療において一番作る装具じゃないかなと思います。

グラフィン装具のように踵に体重がかからないというところまではいきませんが、足の裏全体で体重を支えることで、踵の骨折部にかかる負担を減らすという目的で使います。

これも市販のインソールじゃなくて、足裏の形にピッタリフィットしたモノを作ることで効果が高まります。

 

踵骨骨折の基本をおさらい

踵骨(しょうこつ)とは?

踵骨というのはまさに「踵(かかと)」の骨です。通常の歩行では最初に踵から地面について体重を支える大切な部位と言えます。

距骨(きょこつ)と距踵関節(きょしょうかんせつ)をつくる

この踵骨の上には距骨(きょこつ)という骨が乗っかっています。この距骨はまさに足首という関節の主役とも言える大切な骨で、足首が動くときには距骨が必ず動いていると言ってもいい骨ですが、

この距骨と距踵関節(きょしょうかんせつ)という関節を形成しています。

この距踵関節は足首の回内と回外という動きを担当します。この関節を境に距骨が内側に傾いたり、外側に傾いたりという動きになります。

こちらで言うと、

  • Inversion:回外 もしくは 内がえし
  • Eversion:回内 もしくは 外がえし

ですね。

内なのか外なのかハッキリしろと怒られそうな用語ですし、回内外と内がえし、外がえしは厳密には違う話ですが、定義もふわふわしているので、考えすぎないのがいいかなとも思います。

アキレス腱の付着部である

踵骨のもう一つの役割はアキレス腱の付着部であるということです。 アキレス腱は踵骨の後ろに付着します。

3d rendered illustration of the achilles tendon

逆に言うと、アキレス腱を下に追って触れていくとカタい骨にあたります。それが踵骨のアキレス腱付着部であるということですね。

このアキレス腱の付着部で骨折してしまうという特殊なタイプの骨折もあり、この骨折の場合はアキレス腱に引っ張られて骨がズレていきやすいという特徴があります。

踵骨骨折の特徴

この踵骨が折れてしまう踵骨骨折の特徴を2つ整理しておきます。

体重をダイレクトに受ける骨

1つはダイレクトに荷重がかかる骨である、体重を受け止める骨であるということです。

つまり、歩く、走る、ジャンプする、といった基本動作において非常に重要な骨であるということですね。重要だからこそ「踵」という漢字が当てられているのかもしれません。

周りの軟部組織が薄い

もう一つの押さえておきたい特徴は周りの軟部組織が薄いということです。

他の骨の多くは筋肉に取り囲まれていたり、厚い皮下脂肪に覆われていたりと皮膚と骨との距離がある程度あるわけですが、踵骨の場合は下は脂肪体と呼ばれるクッション代わりの脂肪が豊富ですが、内側と外側はだいぶ薄いです。すぐに骨が触れてしまうと思います。

この軟部組織が薄いというのは2つのデメリットがあります。

1つは腫れやすいということ、そして、もう一つは手術後の創の治りがイマイチであるということです。その大きな要因は軟部組織が薄いが故に、血の巡りが悪くなりやすいということになります(逆に軟部組織が分厚ければ、多少損傷してもどこかしら血流が保たれます)。

まとめ

今回は踵骨骨折の治療において大切なリハビリテーションについて、それぞれの段階で大切なポイントをお伝えいたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

骨折というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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骨折は最初の2週間が勝負!


骨折の治療は骨がくっつきだしてしまうまでの最初の2週間で成否が決まると言っても過言ではありません。

納得いく治療を受けていただくために、こちらの記事を一度お読みください。

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どうしても多くの患者さんを拝見している中で時間をかけて人1人と向き合う時間がないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望を、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること、提供できることを常に探しながら診療しております。

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歌島 大輔

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