骨挫傷で注意すべき後遺症を専門医が解説

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歌島 大輔

歌島 大輔

スポーツ整形外科医師(非常勤)さくら通り整形外科
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

骨挫傷(こつざしょう)・・・ 聞きなれない言葉ですが、整形外科などに外傷で通院されると結構頻繁に医師から発せられる言葉かもしれません。

MRIがどんどん普及するに従って、意外とよく起こっていることがわかるようになった病態なので昔はほとんど聞かない言葉だったはずです。

そして、その仰々しい語感から、どんな病態なのか?骨折よりいいのか、悪いのか?後遺症は残りやすいのか?など、なかなか心配になってしまうことが多いようです。

ただ、実際のところ、注意すべき点さえ押さえれば、骨折などよりも経過が良いことも多いですし、後遺症も残らないことがほとんどですので、そこら辺を解説していきたいと思います。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

骨挫傷の基本をおさらい

骨挫傷とは?

まずはそもそも骨挫傷って何?ってところからです。

言葉からすると 「骨」 + 「挫傷」

です。

挫傷っていうのは打撲だと思ってもらっていいです。

太ももの打撲は正確な病名としては大腿部挫傷ということになります。

ということは、骨挫傷は骨の打撲ということになりますね。

骨の打撲?

普通の打撲とどう違うの?という感じですよね。

普通の打撲は軟部組織のダメージが中心

普通の打撲、挫傷はその部位を直接打ち付けることで、皮膚や皮下脂肪にダメージが及び、炎症を起こします。赤く腫れますよね。

さらに深いところにダメージがいくと、筋挫傷になります。 筋肉の打撲ですね。

よくアメリカンフットボールやラグビーなどで膝が太ももに入ってします、いわゆる「ももかん」で大腿四頭筋の筋挫傷がよくおこります。

これらは軟部組織の挫傷であるわけですね。

骨の打撲 骨挫傷

それに対して骨そのもののダメージが中心になるのが骨挫傷ということです。

骨までダメージが及ぶんだから、その前段階で皮膚や皮下脂肪、筋肉も相当傷んでるんじゃないか?と思われますよね?

これは半分正解で、半分間違いです。

半分正解というのは、そのままで、たしかに骨挫傷になるということはそうなるメカニズムを考えて、他に軟部組織にもダメージが及んでいないか、よくよく検索することが大切です。

もう半分、間違いというのは、骨挫傷は普通の打撲のように外から直接打ち付けるという受傷メカニズム以外に、骨と骨がぶつかるということがあります。膝でよくおこりますが、関節は骨と骨(軟骨と軟骨)が向かい合っているわけですから、無理な力が関節に加わってぶつかってしまうということが起こります。

この場合は直に骨にダメージがいくわけですね。

骨挫傷の症状は?

骨挫傷の症状はシンプルに痛みです。

骨は外が硬い皮質骨という分厚い殻で覆われていますから、骨挫傷でダメージを食らっても骨が腫れるということは起こりません。もし、骨が腫れるというような状態があるとすれば、それは変形であり、つまり、骨折が起こっていることになりますから別物です。

骨挫傷はレントゲンではほぼわからない

この骨挫傷は痛みといっても、捻挫や打撲との鑑別が難しいですよね。

実際、レントゲンでも骨折ではないのでわからないわけです。

しかし、痛みが強いな、単なる捻挫、打撲にしても症状が強いなと考えたときにわれわれはMRIを撮ることが多いです。

そして、このMRIで骨挫傷がわかります。

MRI脂肪抑制

MRIというのはいくつか撮影条件があるのですが、脂肪抑制像という撮り方では骨が黒く写るのですが、骨挫傷があるとその部分が白く写ります。またT1強調画像というものでは逆に通常の骨は白く、骨挫傷部位は黒く写ります。

つまり、しっかりと画像上にも変化があるくらいのしっかりしたダメージを骨が受けているのが骨挫傷であるということになります。

では、骨挫傷は骨の中で何が起こっているのでしょうか?

骨挫傷は中で何が起こっている?

骨挫傷部位で起こっているのは骨のミクロレベルの網目構造(骨梁:こつりょうと言います)の損傷、破綻や出血、浮腫(むくみ)だと考えられています。

 

これはまさに普通の打撲や筋挫傷でも皮下脂肪、筋肉などで起こっていることと共通します。

骨挫傷は骨折ではない・・・が

それに対して「骨折」というのは外の殻である皮質骨(ひしつこつ)の連続性が途絶えた状態と定義されます。つまり、殻のひび割れ以上の状態が骨折です。

骨挫傷はこの皮質骨のひび割れはないというのが違いですが、実際、骨折でもひび割れがレントゲンでもわからず、MRIでも特に初期は骨挫傷と区別がつかない画像を呈することがあるので注意が必要と言われています 

骨挫傷で注意したい後遺症

さて、この骨挫傷で注意したい後遺症ということですが、 実は骨挫傷そのもので後遺症に至ることは少ないと言えます。

おさらいで解説したとおり、骨の変化としては「骨折未満」の病態ですからね。 骨の形も変形しませんし。

しかし、少し骨挫傷という状態を拡大して考えてみると後遺症も残しかねない要注意な状態がいくつかあります。

軟骨下骨折→骨壊死

おさらいでも述べましたが、骨挫傷は骨と骨がぶつかるようなメカニズムで起こることがあります。

その場合に、実際は関節でぶつかるわけですから、軟骨と軟骨がぶつかります。

その結果、骨挫傷で済めばいいのですが、軟骨下骨折(なんこつかこっせつ)という軟骨のすぐ深くにある骨が折れてしまう状態や、次に述べる軟骨損傷が起こることがあります。

軟骨下骨折の場合はその後の経過を注意してみていかないと(ときに体重をかけないような安静など)、骨壊死(こつえし)という骨の栄養、血流低下による細胞死が起こってしまい、軟骨がだんだん凹んできてしまうということが起こりえます。

その結果、次に述べる変形性関節症となり、体重がかかると痛い、曲げ伸ばしで痛い、関節がかたいというような後遺症が残ることがあります。

軟骨損傷→変形性関節症(軟骨すり減り)

軟骨損傷も程度によって、だんだん軟骨のすり減りが増していって変形性関節症となってしまいます。

変形性関節症はもともとツルッとスムーズに滑った軟骨がすり減り、ざらざら、ぼこぼこしていって動かすたびに軟骨はわずかながら削れていって、関節の形が変形し、関節の炎症が続いてしまう状態です。

その症状の多くは関節の痛み、関節の可動域制限によって日常生活に支障がでるほどです。

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靭帯損傷による関節グラグラ(不安定)

また、骨と骨が関節においてぶつかるくらいの状態で骨挫傷が起こったとして、それは関節にとっては想定外の動きです。

想定外と想定内を決めているのは関節を安定化させていてる靭帯です。

この靭帯の許容範囲を超えて動かされてしまった関節は脱臼するか、亜脱臼して、靭帯は断裂してしまいます。

骨挫傷 + 靭帯損傷は特に膝でよく起こり、前十字靭帯損傷のときはたいてい骨挫傷も一緒に起こっています。

内側側副靱帯と前十字靱帯が断裂する図

ということは、骨挫傷がある場合はその関節の靭帯がどこか切れていないか?と疑ってかかることが基本なんですね。

そして、靭帯が断裂していれば、そのせいで関節がぐらぐら状態となり、関節によっては脱臼を繰り返したり、また、脱臼までいかなくても、膝なら膝崩れが起こりやすかったり、踏ん張りがきかなかったり、半月板など他の場所にも損傷が拡大していったりしてしまいます。

実際には不顕性骨折→骨折がズレる

また、骨挫傷と考えられていたが、実際には不顕性骨折というレントゲンではわからない骨折だったというケースがあります。

MRIでは骨折でも骨折周りが出血、浮腫を起こしますから、骨挫傷と見分けがつかないことがあるんですね。

その場合に早め早めにリハビリやスポーツ復帰をしてしまったために不顕性骨折が、いよいよズレてしまうなんてことが起こりえます。

骨挫傷が起こったメカニズムと周辺損傷の検索がすべて

このように骨挫傷での後遺症というより

骨挫傷と思いきや○○だった!

という状態や

骨挫傷だけかと思いきや○○もあった!

という状態の場合に後遺症に注意が必要ということがわかります。

つまり、骨挫傷がどのようなメカニズム(動き、力の加わり方)で起こってしまったのか?そして、それなら骨挫傷以外にどこにダメージが加わっているのか?そもそも骨挫傷でいいのか?もっと重症損傷じゃないのか?

ということは注意しながら見ていくことになります。

骨挫傷という言葉を医師から聞いた場合はこのような点に注意しながら医師からの説明を受けてみてください。

まとめ

今回は骨挫傷と後遺症の関係について基本のおさらいから説明いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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